2015年1月20日火曜日

仕事が私を見いだしてくれた-エミリー・ブラントの言葉から-

Emily Blunt (エミリー・ブラント)という女優さんをご存じでしょうか。映画『プラダを着た悪魔』で、アン・ハサウェイ扮する主人公のアンドレアの先輩秘書、エミリーを演じていた、あの方です。NPRのブレイク・スルー(突破口)のコーナーに、インタビューが取り上げられたのですが、彼女の経験には、とても考えさせられました。



エミリー・ブラントは幼いころ、吃音に悩まされたのだそうです。それは、7-8歳頃から始まり、12-13歳頃が最もひどかったということでした。特に母音に悩まされ、自分のエミリーという名前も言えず、とてもつらかったそうです。ご両親も随分心配され、リラクゼーションのセラピーをはじめ、思いつく限りの解決方法を試してみたということです。

ブレイク・スルー(突破口)となったのは、小学校の先生の提案でした。なんと、学校の演劇に出演しないか、とエミリー・ブラントを誘ったのです。エミリーは「ノー」の一言さえ言えず、ただ、首を振るばかりでした。しかし、先生は、彼女が友達と物まねなんかをやっているときには、どもることが無いのに気づいていました。結局、エミリーは劇に出演することなるのですが、この試みは大成功で、エミリーは随分久しぶりに、一度もどもることなく話し続け演技を終えることができました。本人はもちろん、お母様の喜びは大変なものだったそうです。そして、この成功が自信となり、吃音を克服でき、また、この時演技をしたことがきっかけで、女優の道に進むことになったのだということです。
"And I think I'd get a little bit overwhelmed if I think about the odds of this not working out. This job found me. I'm someone who never thought I would end up in a career where I had to speak fluently. And here I am."
(そして、もしもうまくいっていなかったらという可能性の方を思うと、ちょっと胸がいっぱいになります。この仕事が私を見い出してくれたのです。まさか、自分が、ものすごくうまく言葉を発しなくてはならない仕事にたどりつくことになるなんて、想像だにできない。私はそういう人間なんです。なのに、私は今、こうしているんです。)
問題の渦中にいる時には、問題にすっかり支配されていて、他のものは目にも耳にも入らずに、自分の不幸を嘆くばかりでいるものです。エミリー・ブラントだってそうだったに違いないはず。周囲の人に嗤われている自分、心配ばかりされてしまう自分、克服しようとするのにどうしてもできない、不甲斐ない自分・・・。 でも、その問題が無ければ、女優という職業にたどり着くことはなかった。つまり、吃音に悩むことこそが、自分の生涯の天職を得るまでに必要なプロセスの一部だったというわけです。そう考えると、一見最悪に見える事態も、将来に向けての重要な第一歩かもしれず、落ち込んでばかりはいられないし、また、最悪な状況かどうかは、後になってみなくてはわからないものだということになる。最悪な状況に重要な意味があるとすれば、人生、恐れるべきものなど何もない。そう思えて元気が出る気がしました。

引用:The quoted part is from: NPR "Desperate To Speak: How Emily Blunt Found Her Voice" DECEMBER 21, 2014 5:04 PM
http://www.npr.org/2014/12/21/372117734/desperate-to-speak-how-emily-blunt-found-her-voice?utm_campaign=storyshare&utm_source=twitter.com&utm_medium=social

2015年1月1日木曜日

アニー・ディラードとスケジュールについて


スケジュール帳を使っています。A6サイズで水色の表紙。月の予定が一覧できるページと、1週間が見開きで、毎日のスケジュールを縦の時間軸で書き込みができるページの両方があります。毎週、毎日のはじめに月の予定のページから、今週の予定を確認して、時間軸の欄に赤字で書き込んでおきます。周りの空欄に、その週にしなくてはならないことを書きだしておきます。(毎日どんどん増えていきます)赤字の予定以外の時間は、自分の自由になる時間なので、その部分に、しなくてはいけないことを優先順位を考えながら、入れていきます。実際に仕事を仕上げるのに、どのくらい時間がかかったかもメモします。(後日同じ仕事をする時に計画が立てやすくなるし、途中で別の作業を始めたりしてしまうことが避けられます)そして、to-do-listの中の終わった仕事は、二重線で消していきます。なるべく短い時間で、最大の効果をあげたいと、いつもスケジュールとにらめっこしていて、この水色のスケジュール帳が無ければ、全く仕事ができないだろう、と思います。


"How we spend our days is, of course, how we spend our lives. What we do with this hour, and that one, is what we are doing. A schedule defends from chaos and whim. It is a net for catching days. It is a scaffolding on which a worker can stand and labor with both hands at sections of time. A schedule is a mock-up of reason and order—willed, faked, and so brought into being; it is a peace and a haven set into the wreck of time; it is a lifeboat on which you find yourself, decades later, still living. Each day is the same, so you remember the series afterward as a blurred and powerful pattern."
(毎日をどう過ごすかは、もちろん、人生をどう過ごすかということになります。この時間、次の時間をどうするかが、自分が取り組んでいることなのです。スケジュールを立てると、混乱したり思い付きで行動したりするのを防げます。スケジュールは1日を逃がさないようにする「網」になるというわけです。働いている人にとってはよって立つ足場であり、時間ごとに手いっぱいでこなさなくてはならない仕事でもあります。スケジュールとは、なぜそれをするのか、そして、何を優先するかについての雛形のようなもので、そうしようとする意志はあるのに、その通りにはいかない、また、だからこそ実現を可能にしてくれるのです。混乱してどうにもならなくなった時間に、秩序と安心をもたらしてくれるもの。その救命ボートに乗っていれば、何十年か後に、自分がまだ生きていることに気づくことでしょう。毎日同じように過ごしていても、後になって、ぼんやりした、でも同時に力強いパターンとして、一連の日々を思い出すことになるのです。)
これは、brainpickings(http://www.brainpickings.org)で紹介されていた、アニー・ディラードという女性作家が書かれた文章です。一般ノンフィクション部門で、ピューリッツァー賞も受賞された方だということです。これまで存じ上げず、作品も読んだことはなかったのですが、この方の、スケジュール、ということへの考え方に共感が持てる、と思いました。

一度にたくさんのことをこなさなくてはならなくなった時、自信の持てないことに取り組まなくてはいけなくなった時などに、まず、一度、やるべきことを書き出してみて、優先順位をつけたりして、頭の中を整理することができると、それだけで、心の負担が軽くなるような気がします。また、やらなくてはならないことはもちろん、自分の「やりたいこと」や「将来こうありたい。そのために必要なこと」もリストにして、やらなくてはならないことの中に加えてみます。そうすると、二重線で消していく、その先の未来には、自分の夢見る自分の姿があるようで、なんだか楽しくなるような気がしてきます。

2015年のスケジュール帳はどんなことが書き込まれるのでしょうか。いろんなことを書き込みたくなるような、充実した1年になるといいな、と思っています。

どうぞ、良いお年を。

引用:The quoted part is from:
How We Spend Our Days Is How We Spend Our Lives: Annie Dillard on Presence Over Productivity http://www.brainpickings.org/2013/06/07/annie-dillard-the-writing-life-1/?utm_content=buffer18b9b&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer