2015年4月23日木曜日

プロセスをこよなく愛せよ -ブラッドリー・ウィットフォードの卒業式の演説から-


私たちは毎日の生活の中で、大まかにいって2つのことをやっているのではないか、と思います。1つは何らかの「パフォーマンス」をすること、もう1つは何らかの「準備」をすること、です。例えば、会議に出席しているのは「パフォーマンス」で、会議のために調べものをしたり、資料を作ったりするのは「準備」だと考える。家でも食事の支度は「準備」で、食事自体は「パフォーマンス」。そして、お風呂に入ったりするのは、明日のための「準備」だと考える、というわけです。「パフォーマンス」の方は、いわば本番の舞台なので、気持ちがこもっていることが多いものですが、「準備」の方は、面倒だからつい後回しにしてしまった、とか、どうやったら効率よく速く終わらせることができるだろう、とか、そんな姿勢で臨みがちです。

Bradley Whitford(ブラッドリー・ウィットフォード)は、TVドラマ『ザ・ホワイトハウス』のジョシュ・ライマン役として知られているアメリカの俳優です。この役で、2001年度エミー賞助演男優賞も受賞しています。そのブラッドリー・ウィットフォードが、 2004年のウィスコンシン大学マディソン校の卒業式の演説で、6つのアドバイスを語っています。そのうちの2つを。



"Number One: Fall in love with the process and the results will follow. You've got to want to act more than you want to be an actor. You've got to want to do whatever you want to do more than you want to be whatever you want to be, want to write more than you want to be a writer, want to heal more than you want to be a doctor, want to teach more than you want to be a teacher, want to serve more than you want to be a politician. Life is too challenging for external rewards to sustain us. The joy is in the journey."
 (その1:プロセスをこよなく愛せよ。そうすれば結果は後からついてくる。俳優になりたい、と望む以上に、演技をしたい、と望むことだ。何になりたいと思うにせよ、なりたいと思う以上に、なんでもやりたいと思ってそれを実行すべきなのだ。作家になりたいと思う以上に、書きたいと思うことだ。医師になりたいと思う以上に人を癒したいと、教師になりたいと思う以上に教えたいと、政治家になりたいと思う以上に、奉仕したいと思うべきなのだ。人生はそれ自体にやりがいがあるもので、別のところからもらうご褒美で、もちこたえるものではない。人生の喜びは、その旅の途中にあるのだ。)
"Number Two: Very obvious: do your work. When faced with the terror of an opening night on Broadway, you can either dissolve in a puddle of fear or you can get yourself ready. Drown out your inevitable self-doubt with the work that needs to be done. Find joy in the process of preparation."
 (その2:当然であるが、自分の仕事をせよ。ブロードウェイがいよいよ開幕する夜のあの恐ろしさに向かう時、不安の沼にはまってしまうか、それとも、万全の準備ができるか、どちらの態度も取れるのである。なかなか自分に自信をもつことはできないものだが、すべき事はすべて済ませておいて、そこから抜け出すのだ。準備を整えるプロセスにこそ喜びを見いだせ。)
 確かに自分の周囲を見渡しても、「パフォーマンス」の素晴らしい人は、「準備」に決して手を抜かない人です。「準備」が充実していれば、「パフォーマンス」が自ずと充実するのは、当然のことのように思います。また、「パフォーマンス」すること自体が、楽しみになることすらある気がします。いずれにせよ、「パフォーマンス」も「準備」もどちらも私たちの人生の一部であり、そのどちらも楽しまないのはもったいない。軽視することなく、また、無駄を恐れず、思う存分「準備」に没頭したいものだと思いました。

引用:The quoted part is from:
Reinventing the Secular Sermon: Remarkable Commencement Addresses by Nora Ephron, David Foster Wallace, Ira Glass, and More
http://www.brainpickings.org/2015/03/25/way-more-than-luck-commencement/?utm_content=bufferacb52&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
in Brainpickings
http://www.brainpickings.org/