半年くらい前のことだったでしょうか。毎日、更新を楽しみにしている、洋楽の歌詞を和訳するサイト、『およげ!対訳くん』で、ジェフ・バックリーの歌うHallelujah(ハレルヤ)を初めて聴きました。
http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2014/03/hallelujah-leonard-cohen-jeff-buckley.html
この曲は、オリジナルはレナード・コーエンによるもので、ジェフ・バックリーはカヴァーをしているということなのですが、丁寧に演奏されるギターの音に導かれた、彼の歌声にひきこまれました。そして、「歌唱力」とはなんだろうということに思いを馳せてしまいました。声が美しい、声量がある、音程が安定している・・・。歌がうまいと感じるときに、いろいろな要素があると思うし、歌がうまいミュージシャンといえば、亡くなった方まで数え上げれば、枚挙にいとまがないものですが、それでも、このジェフ・バックリーのハレルヤは特別です。この圧倒的なヴォーカルの力はどこから生まれてくるのか。なぜ、こうも美しく、しんと胸に響いてくるのか。
先日、Brain Pickingsに、ジェフ・バックリーのインタビューが取り上げられて、この疑問の答えがわかったような気がしました。
http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2014/03/hallelujah-leonard-cohen-jeff-buckley.html
この曲は、オリジナルはレナード・コーエンによるもので、ジェフ・バックリーはカヴァーをしているということなのですが、丁寧に演奏されるギターの音に導かれた、彼の歌声にひきこまれました。そして、「歌唱力」とはなんだろうということに思いを馳せてしまいました。声が美しい、声量がある、音程が安定している・・・。歌がうまいと感じるときに、いろいろな要素があると思うし、歌がうまいミュージシャンといえば、亡くなった方まで数え上げれば、枚挙にいとまがないものですが、それでも、このジェフ・バックリーのハレルヤは特別です。この圧倒的なヴォーカルの力はどこから生まれてくるのか。なぜ、こうも美しく、しんと胸に響いてくるのか。
先日、Brain Pickingsに、ジェフ・バックリーのインタビューが取り上げられて、この疑問の答えがわかったような気がしました。
"[What I want to communicate] doesn’t have a language with which I can communicate it. The things that I want to communicate are simply self-evident, emotional things. And the gifts of those things are that they bring both intellectual and emotional gifts — understanding. But I don’t really have a major message that I want to bring to the world through my music. The music can tell people everything they need to know about being human beings. It’s not my information, it’s not mine. I didn’t make it. I just discovered it."
(僕が伝えたいことには言葉なんて無い。だから、言葉で伝えることはできない。僕が伝えたいのは、シンプルに、伝えようとしなくても伝わる感情みたいなもの、そういうものだ。そういうものは、ありがたいことに、知性と感情の両方に届いてくれて、「共感」を与えてくれる。でも、僕は、音楽を通じて、世界に何かものすごいメッセージを伝えたい、なんて思ったりはしていない。僕たちに、人として生きていくのに、知らないといけないことを教えてくれるのは、音楽の方なんだ。「僕が伝えたいこと」じゃない。僕からではない。僕が作り出したわけではなくて、僕はただ、探し出しただけなんだ。)
"It’s just that, when you get to the real meat of life, is that life has its own rhythm and you cannot impose your own structure upon it — you have to listen to what it tells you, and you have to listen to what your path tells you. It’s not earth that you move with a tractor — life is not like that. Life is more like earth that you learn about and plant seeds in… It’s something you have to have a relationship with in order to experience — you can’t mold it — you can’t control it…"
(人生の本質っていうのは、つまり、ただ、こういうことだ。人生は特有のリズムを持っている。そして、誰も自分のやり方を、押し付けるわけにはいかないんだ。人生がこちらに伝えてくるものに耳を澄まさなくてはいけない。自分の進む道がこちらに伝えてくることに、じっと耳を傾けるんだ。トラクターを使って、切り開いて行く大地。人生はそんなものじゃない。そうではなくて、しっかりと確かめながら、種をまいていく。どちらかというとそんな大地だ。関わりを深めながら、経験をつみ重ねていくべきもので、勝手にねつ造したり、コントロールしたりなんかできないんだ。)
ジェフ・バックリーの言葉に、音楽にすべてをかけて、真剣に向き合った彼の姿がうかがえます。このハレルヤという曲も、詩の内容は、わりに抽象的で、様々な解釈が可能になりそうですが、聞き流したりせずに、心を落ち着けてじっと歌声に耳を澄ましていると、人を愛するということに付随する歓びや哀しみ、諦念が、どうしようもなく歌声ににじんでいるようで、受け入れているのか、抗っているのかわからなくなるような、なんともいえない気持ちになって、心を動かされます。1990年代に、将来を嘱望されていたのに、水泳中に30歳の若さで溺死してしまった(ウィキペディア)ということですが、短い人生の歌声の一瞬一瞬に、音楽に対する、洞察、理解、信頼、畏れなどがこもっていて、それが彼の歌に、他のミュージシャンにはない、圧倒的な深みと陰影を与えることになったのではないか。そんな気がします。
引用;The quoted part is from;
"Brain Pickings"
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