2017年8月28日月曜日

インスピレーションにしたがって生きる ーアグネス・マーティンの言葉からー

このブログのタイトルは、エジソンの
"Genius is one percent inspiration, ninety-nine percent perspiration."
(「天才とは、1パーセントのひらめきと、99パーセントの努力である」)
という言葉から作りました。学生時代から、小説や詩やエッセイのようなものから果ては漫画にいたるまで、文字を読んではその中にある言葉に、そういう考え方があったかと気づかされたり、イメージの美しさに感激したり、ふとした瞬間に思い出して励まされたりしてきました。また、そんな言葉を、何度も読んだりノートに書き留めてみたり、ということを繰り返してきました。このブログも、読んだり書いたりする手段がコンピューターに変わっただけで、相も変わらず、少女時代と同じことをやっているだけのようです。どうあれ、私にとっては、ある種の文章や言葉は、100%インスピレーションを与えてくれる大切なものに他なりません。
 今回は、また、Brainpickingsの中から、アメリカの抽象画家Agnes Martin(アグネス・マーティン)の言葉を見つけました。この文章の中で、アグネス・マーティンはインスピレーションとは何かについて語り、インスピレーションに従って生きることの大切さを述べています。
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"The world evolves due to changes that take place in individuals. By individuals I mean all living things. The world evolves due to a growing awareness in the lives of all things and is expressed in their actions. The actions of all things are guided by a growing awareness of life. We call it inspiration. Living by inspiration is living. Living by intellect — by comparisons, calculations, schemes, concepts, ideas — is all a structure of pride in which there is not beauty or happiness — no life." 
(「世界は個々に起こる変化によって進化していきます。ここでいう個々というのは、生きとし生けるもの、すべてのことをいいます。世界はすべてのものの生の中で、意識が高まることで進化していきます。そしてそれは行動に表れるのです。すべてのものの行動は、意識の高まりに導かれるからです。私達はその意識の高まりのことをインスピレーションと呼んでいます。インスピレーションに従って生きることが、本当に生きることなのです。頭で生きること、つまり、比較とか、計算とか、計画とか、概念とか、思想とか、そういったものは、プライドを作り上げるだけで、そこには、美しさや幸せはありません。生がないのです。」)
"Where pride walks nothing of life remains. It is the supreme destroyer of life. Pride leaves nothing in its path. It is death in life."
(「プライドの進む後、人生に何も残るものはない。プライドは、人生を破壊する最たるものです。プライドは、人生に歩みに何も残さないのです。それは、人生における死です。」)

"Hold fast to your life, to beauty and happiness and inspiration, and to obedience to inspiration. Do not imitate others or seek advice anywhere except from your own mind. No-one can help you. No-one knows what your life should be. No-one knows what your life or life itself should be because it is in the process of being created.
Life moves according to a growing consciousness of life and is completely unpredictable. If you live according to human knowledge, according to precept, values and standards, you live in the past. If you live entirely in the past you will not know beauty or happiness and you will not in fact live. You must believe in life. Believe that you can know the truth about life."
(「自分の人生を、美と幸福とインスピレーションをしっかりとつかみなさい。インスピレーションに従うのです。他人の真似をしたり、自分自身以外のどこかからのアドバイスを求めてはいけません。誰もあなたを助けることはできないのです。誰もあなたの人生がどうなるかなんてわからないからです。誰もあなたの人生がどうなるかわからない、なぜなら、それは、創り上げられている過程にあるからです。人生に対する意識の高まりに従って、人生は動いていくし、人生は、完全に予測不可能なのです。人間の知識とか、教えとか価値とか基準なんかに依って生きれば、過去に生きることになります。完全に過去にいきると、美しさも幸せもわからないし、本当に生きたことにはならないでしょう。人生を信じなくてはいけません。自分も人生の真実を知ることができると信じなさい。」)
このアグネス・マーティンの言葉を読むと、なんだか元気が出るような気がします。おそらく、この言葉は真実であるに違いない、という気がするのです。でも、真実に違いないと思う一方、「意識の高まり」とか、「インスピレーション」とか言われても、実際のところ、わかったようなわからないような・・・。比較とか計算とか計画とか、頭で考える方が、むしろ単純で想定しやすいのではないでしょうか。
 昨年の今頃、1週間程、入院手術することがありました。体を動かすと痛いし、特に何をすることもできず、ベッドの上でうとうとしたり、とりとめのないことを考えたりしていました。その時に、ふと、自分が一番力を発揮するのは、「受容する」ということにおいてではないのだろうか、自分はそのために生まれてきたのではないだろうか、という思いにとらわれました。そして、この入院を機に、これからは意識してそうしてみようと思いました。例えば、音楽を聴くとき。まず、心を静かに落ち着けて、バックに流れるベースの音やドラムの音にも注意を払って、じっくりと音楽に耳を傾ける。人の話を聴くとき。その人の声や目の色まで感じながら、まるごと、人の話に全身で対峙する。何かを読むときも、飛ばし読みしたりせずに、一つ一つの言葉を大切に読んでいく。食事をする時だって、慌てて飲み込んだりせずに、どんな味かどんな風味か、よく味わって食べるのです。自分の周りのあらゆるもののメッセージをつかみ、なるべく正確に理解し、それをしっかりと受け止めていくのだと、そういうことを思いました。
 そういう風に生きていれば、インスピレーションだって、捉え損ねることはないのではないでしょうか?或は、その時の「受容する」ために生まれてきたのだ、というその考え自体が、インスピレーションだったのかもしれません。

The quoted part is from;
Beloved Artist Agnes Martin on Our Greatest Obstacle to Happiness and How to Transcend It  in brainpickings