2016年8月16日火曜日

ライフ イズ クリエイティブ

クリエイティブな人生、というと、アーティストだとか作家だとか、プロとして何か作品を産み出して生計を立てている人の人生のような気がしていました。でも、ある時、そうではない、ということに気付きました。ごくありふれた日常の生活の中で、自分はクリエイティビティを大いに発揮しているのだ、と思ったのです。

例えば、家の前にある花壇の世話をする。自分の花の趣味はもちろん、日照量とか手入れにかけられる時間とか、周囲の雰囲気などで、植える花の種類を選ぶ。どのくらいの株を、どの植物の隣にと考えながら、花壇をうめていく。そうすると、植物が想定外の育ち方をしたりして、それにどう対処するかを考えて・・・。家の仕事の一つとして、庭の世話をしているだけのつもりでも、花壇は、自分の知識も教養も、趣味も好みも、面倒くさがりな性分も、全てを映し出す作品になってしまっています。

おそらくは、人生の岐路に立った時に、大きな決断を下すのも、同じことなのでしょう。自分に向いている、自分らしい、興味がある、その方が有利だ、その方がうまくやれそうだ、等々。様々な要因が重なってある一つの選択が下されます。そうやって辿る道筋が、自分の一生という物語を紡いでいくのです。

イギリスの教育思想家のケン・ロビンソン(Ken Robinson)が、TEDトークの中で、人生が開花するための3つの原則がある、と語っています。1つ目は、人間の多様性、2つ目は好奇心、そして、3つ目はクリエイティビティだということです。


... And the third principle is this: that human life is inherently creative. It's why we all have different résumés. We create our lives, and we can recreate them as we go through them. It's the common currency of being a human being. It's why human culture is so interesting and diverse and dynamic. I mean, other animals may well have imaginations and creativity, but it's not so much in evidence, is it, as ours? I mean, you may have a dog. And your dog may get depressed. You know, but it doesn't listen to Radiohead, does it?
(そして、3つ目の原則は、人の人生というのは、本来クリエイティブなものだということです。だから、私たちは1人1人、違った履歴をもつようになるのです。我々は自分の人生を創っています。そして実際に生きることで、その人生を再現していくのです。それは、人間であることの共通の通貨のようなものです。だから、人間の文化は面白く、多様性に富んでいて、生き生きとした活力に満ちているのです。・・・というか、他の動物だって想像力とかクリエイティビティを持っているのかもしれません。でも、我々人間のように証拠がないですよね?犬を飼っておられますか。あなたの犬だって、落ち込むことがあるのかもしれない。でも、落ち込んだからといってレディオヘッドを聴いたりしないから。そうですよね?)
And sit staring out the window with a bottle of Jack Daniels.
(ジャック・ダニエルのボトルを片手に、窓から外を眺めたりとか。)
"Would you like to come for a walk?" "No, I'm fine."
(「散歩に行かないの?」「いや、いいよ」)
"You go. I'll wait. But take pictures."
(「いって来て。ここで待ってるから。後で写真見せてね」とか。)
We all create our own lives through this restless process of imagining alternatives and possibilities, and one of the roles of education is to awaken and develop these powers of creativity. Instead, what we have is a culture of standardization.
(私たちは皆、他の選択肢や可能性を常に想定しながら、人生を創り出して行くのです。教育の役割の一つは、この創造の力を目覚めさせ、開発することなのです。なのに、それをせずに、私たちは(テストなどで)標準化ばかりしているのです。) 
また、人生の岐路に立って下すような大きな選択が、私たちの人生を形作るばかりではなく、もっと些細な、例えば、誰かにメッセージを伝える走り書きに、どんな文字でどんな言葉を書くのか、スーパーでレジに差し出すカゴの中に、何を選んで入れているのか、というような、そんなことも、「私」を作り、私の人生を構築する一つ一つのパーツになっていくのです。そう考えると、毎日絶え間なく繰り返す、いろいろな小さなことが、とても大切なことのように思えてきます。その様々なことにワクワクしたり、うっとりしたり、満足したりできたらいいなあ。どれもがもっと豊かになるように、歳をとっても、まだまだ学んでいけたらいいなあ、と思います。人生に自分らしいクリエイティビティを発揮するほど、楽しいことってないんじゃないでしょうか。

The quoted part is from:
TED talk  How to Escape Education's Deth Valley? by Ken Robinson
https://www.ted.com/talks/ken_robinson_how_to_escape_education_s_death_valley?language=ja