村上春樹さん、ごくたまに、出版社を通じて読者との交流サイトのようなものを立ち上げて、読者とメールのやり取りなんかをしてくださいます。敢えて広く告知などはされず、知る人ぞ知るという感じでされるので、しばしば見落としてしまうのですが。現在も、もう、質問・相談メールの受付は締め切られていますが、読者からのメールとそれに対する村上さんのお返事が、『村上さんのところ』という新潮社主催のサイト(http://www.welluneednt.com/)で、随時公開されています。ツイッターのアカウントもあり、(村上さんのところ@murakamisanno)更新されるたびに知らせてくれます。もちろん、フォロワーになって、更新されるのをいつも楽しみにしています。
今回のやり取りでは、外国の方から英語で寄せられる質問も多く、それには、村上さんが英語で答えておられます。英語での答えが、意外に日本語以上に心に響く言葉で書かれていて、妙に納得してしまいます。以下に引用している文章は、「読者に読み取ってほしいメッセージや、読者に自分なりのメッセージを見つけてほしい、 というようなことが、あなたの本にはあるのか」という、アメリカ人(おそらく)の女性の質問に対する答えとして書かれたものです。
人間というものはあらゆるものごとに、意味づけをせずにはいられない動物だとどなたかが書かれているのを目にしたことがあります。世界のあらゆる出来事が、お互いにかみ合わない単なる断片の寄せ集めで、そこに偶然しかなければ、また、ただ理不尽な事実に翻弄されているばかりでは、どうやって生きていけばよいのだろう、という気がするに違いありません。そこになんらかの意味を見出して、なんとか差し出されたものを飲み込むからこそ、人生に折り合って、納得して先に進んでいけるのだと思います。村上春樹の小説も、文体の心地よいリズムに乗って、どんどん読み進めてしまえるのですが、一つ一つのエピソードから、意味を見いだして解釈を加えるのは、必ずしも簡単なことではありません。おそらく、読む人によって様々な解釈が考えられることでしょう。私たちの人生も同じ。出会う人、住んでいる場所、生まれながらの境遇、突然降りかかってくる出来事。心を開いて、発想を柔軟にして、そういった物事に一つ一つ意味を見いだして、自分という存在の意味をしっかりと受け止めてくれる物語を作っていく。そうやって、前に進んでいくしかないのではないか、という気がします。
引用:The quoted part is from:
『村上さんのところ』http://www.welluneednt.com/entry/2015/03/22/203600
今回のやり取りでは、外国の方から英語で寄せられる質問も多く、それには、村上さんが英語で答えておられます。英語での答えが、意外に日本語以上に心に響く言葉で書かれていて、妙に納得してしまいます。以下に引用している文章は、「読者に読み取ってほしいメッセージや、読者に自分なりのメッセージを見つけてほしい、 というようなことが、あなたの本にはあるのか」という、アメリカ人(おそらく)の女性の質問に対する答えとして書かれたものです。
"My books are an open text entirely. You can interpret it any way you like, or you can leave it uninterpreted. My book is just like a sunset or snowfall. You don’t have to take away any meaning from a sunset or snowfall, do you? But if you do need some meanings, it’s up to you. In any case, enjoy reading. That is the main thing."
(僕の本は、完全に読む人に開かれている文章です。好きなように解釈してくださればよいし、解釈しないままでいても構いません。僕の本は、ちょうど、沈む夕日や舞い降りてくる雪のようなものです。夕日や雪から、何か意味を取り出さなくてはならないわけではないですよね?でも、もしも、何らかの意味が必要になれば、それもあなた次第です。いずれにせよ、楽しんで読んでください。それが一番ですから。)
人間というものはあらゆるものごとに、意味づけをせずにはいられない動物だとどなたかが書かれているのを目にしたことがあります。世界のあらゆる出来事が、お互いにかみ合わない単なる断片の寄せ集めで、そこに偶然しかなければ、また、ただ理不尽な事実に翻弄されているばかりでは、どうやって生きていけばよいのだろう、という気がするに違いありません。そこになんらかの意味を見出して、なんとか差し出されたものを飲み込むからこそ、人生に折り合って、納得して先に進んでいけるのだと思います。村上春樹の小説も、文体の心地よいリズムに乗って、どんどん読み進めてしまえるのですが、一つ一つのエピソードから、意味を見いだして解釈を加えるのは、必ずしも簡単なことではありません。おそらく、読む人によって様々な解釈が考えられることでしょう。私たちの人生も同じ。出会う人、住んでいる場所、生まれながらの境遇、突然降りかかってくる出来事。心を開いて、発想を柔軟にして、そういった物事に一つ一つ意味を見いだして、自分という存在の意味をしっかりと受け止めてくれる物語を作っていく。そうやって、前に進んでいくしかないのではないか、という気がします。
引用:The quoted part is from:
『村上さんのところ』http://www.welluneednt.com/entry/2015/03/22/203600